本屋の仕事に興味を持つ人は多いです。小説やドラマの舞台にたびたび取り上げられますし、舞台裏を描いたノンフィクションの漫画も多いです。ただ、そんな書店の仕入れ担当者が取り上げられることは皆無でしょう。存在すら知らない人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな書店の仕入れ担当者がどんな仕事をするのか、聞かれてもいないのに答えてみたいと思います。
仕入れと聞くとバイヤーみたいなイメージを持つかもしれませんが、仕入れ担当者が本の市場に行って本を買い付けるわけではありません。仕入れ作業は書店の後方支援を担う仕事です。仕入れ担当者の仕事は大きく分けて2つあります。本の入荷作業と返品作業です。いわば本の出入りをチェックし、運ぶのが仕入れ担当者の仕事と言えるでしょう。
ざっと仕入れ担当者の一日を書いてみます。
- 07:30~10:00 本の入荷作業(メイン)
- 10:00~11:00 本の入荷作業(直仕入れ)
- 11:00~12:00 雑誌の返品作業
- 13:00~15:00 書籍の返品作業
- 15:00~16:15 ごみ捨て等雑務
作業は日によって前後しますし、こんな判で押したような一日を送れるのは稀ですが、だいたいのスケジュールを書くと上記のようになります。
ざっと説明すると本の入荷作業は文字通り、本の入荷による運搬、検品、分類して担当者ごとに渡す、等の作業です。朝イチで大量の本が入荷してきます。日販やトーハンという取次会社から入荷してくる本で、物量は中型店舗でカゴ車4台分に相当します。さすがにこれだけの本をいちいち検品することは不可能なので、箱の数だけチェックして仕分けします。本にはコミック、自然科学、社会等、およそ10項目くらいの分類があるの入荷した本を各自、専用の台車に分けて置いていきます。この仕入れ作業、実は書店の売り場で行っています。つまり開店にまで仕入れ作業を終わらせないとまずいので、トラックの到着が遅いときなどはみんなピリピリしています。
メインの入荷作業が無事終わると、無事開店。売り場担当者が売り場に出ていくのを横目に見ながら直商品の仕入れ業務を行います。直商品というのは、日販やトーハンなどの取次業者を通さず直接出版社から送られてくる商品のことで、これが意外と多いです。この直商品は一つずつ検品作業をしていきます。直商品には検品だけしたらいい商品と、ハンディで登録しなければいけない商品があります。ミスをすると店のデータが狂うので一番神経を使う作業です。
それが終わると返品作業が待っています。返品作業には雑誌の返品と書籍の返品の2種類があります。雑誌の返品は雑誌を段ボールに梱包し、数を段ボールに記入します。書籍はハンディによる登録が必要です。
それが終わるとごみ捨てなどの雑務を行います。他にも細々とした作業はありますし、日によって順番が前後するので一概には言えませんが、だいたいのスケジュールは上記の通り。仕入れ担当者は売り場担当者が本を売り場に品出しする、前後の作業を行う後方支援の仕事と言えます。僕がしんがり書店員と自称するのはそういう意味です。
書店の仕入れ担当者にはいろいろな苦労があります。次はそこを説明しましょう。
1 書店の仕事は朝がピーク
書店の仕入れ担当者の朝は早いです。僕の場合は7時30分には出勤し、商品の仕分け作業を行っています。というのも遅くとも10時前には作業を終わらせ、店を開店させないといけないからで、そうなると必然的に出勤時間が早くなります。前述したように、商品の仕分け作業は売り場で行います。開店前に売り場にカゴ車や台車があるという大惨事はなんとしても避けなければいけません。だからトラックの搬入が遅れるときはピリピリします。実質、仕事のピークは午前中です。朝が一番忙しいです。
2 力仕事である。
書店の仕事はイメージと違い、肉体労働の側面が強いです。本の数は膨大なので1つ1つの箱や、カゴ車は重いです。それを運ばないといけないので力仕事といえます。書店員でヘルニアにかかる人は多いといいます。また倉庫の環境は劣悪です。夏は灼熱、冬は極寒。その環境に耐えるだけの体の強さも求められます。書店員は体力仕事なのです。
3 ミスが無くてなんぼ
書店の仕入れ担当者の仕事は減点法で評価されます。ミスが無く、つつがなく一日を送ってなんぼ。大量に直商品が入ってきて、膨大な検品があるときは絶望します。ADHDである僕が一番苦労したのはここかもしれません。最初はたびたびミスをしていましたが、ノートにミスを記録し対策を考えるようにしてからミスは減りました。今ではイレギュラーな案件がなければほとんどミスをしません。
4 意外と人と関わる
店舗の規模によりますが、書店の仕入れ担当者は1人で作業する場合が多いです。売り場に出るわけではありませんし、売り場担当者に比べると人と接する機会は少ないでしょう。しかし、裏方と言えどもそこはチームでやる仕事。それなりの対人折衝力は求められます。特に気を付けなければいけないのは報連相。店長や売り場担当者の指示を正確に理解し行動しなければいけません。また、こちらから入荷した商品の連絡をしないといけない場合もあります。意外とこれが難しい。ADHDであり、ASDである僕はこれにも苦労しました。ASDは口頭の指示を理解するのが苦手なのです。いろいろ試しましたが、とにかく理解するまで質問しまくるという原始的な方法で解決しました。職場が僕の特性に理解のある人が多かったので助かりました。
以上、ざっくりと書店員の仕入れ担当者の仕事について、聞かれてもいないのに解説してみました。苦労も多いですがやりがいもある仕事です。やっぱり間接的に本と関われるのがいいですね。なにかのきっかけでこの仕事に携わる方は参考にしてみて下さい。
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