文学は暗い?先入観を吹き飛ばす笑える小説
みなさん、文学と聞いて何と連想しますか?なんとなく暗い印象を受ける方がほとんどなのではないでしょうか。たいがい作家の写真って、眉間に皺寄せて難しい顔してる場合が多いですもんね。
しかし、どっこい、世の中には笑える文学というものが存在するのです。
今回は世間の文学のイメージとは反対の、明るくテンション高めの笑える文学を集めてみました。
1 夫婦茶碗 町田康
はい。町田康です。またかよと思われても好きなので仕方ありません。実際笑える文学では筆頭に立つのではないでしょうか。
この小説は貧乏で怠け者の私が嫁に逃げられ、一発逆転を賭けて、珍妙なビジネスを始めたり、メルヘン作家を目指して失敗する、ただただダメな男が失敗していく話です。例によって躁病患者のようなハイテンションな文体で、ひたすらナンセンスな失敗を繰り広げていきます。それが滑稽で笑えます。文体が独特なので慣れないとしんどいかもしれませんが、慣れたら中毒必至です。
2 金払うけど素手で殴らせてくれないか? 木下古栗
タイトルから分かる通りシュールな小説です。笑いの種類が町田康とは少し違い、不条理な感じです。M本H志のコントみたいと言えば伝わるでしょうか。
失踪した米原正和を米原正和本人が探すというところから小説は始まります。この時点でかなりシュールですね。かなり不条理な展開が続くんですが、文章はかなり端正でキレイです。そのギャップもすごい。真顔でボケ続けるような狂気を感じられます。
3 太陽の塔 森見登美彦
鬱屈した青春時代を過ごした人なら、笑えて泣けるかもしれません。好きだった恋人にフラれた主人公が、それを受け入れれずストーキングを続けるという、要約すると身も蓋もない話なんですがこれが笑えるんです。文体が一つの発明と言えるぐらい良くて、古めかしい日本語を使ってるんですがそれが滑稽味を出して面白いです。この文章が偏屈なストーカーを、憎めなくて愛嬌のある青年に見せるという奇跡を起こしています。
4 シン・サークルクラッシャー麻紀 佐川恭一
作者は一部界隈では黒い森見登美彦と呼ばれています。躊躇なく下ネタをぶちこんでくるのがこの作者のスタイルです。一人のすごいエロい女子が文芸サークルに加入し、男たちを惑乱していくというのが大筋ですが、筋なんてどうでもいい破壊力があります。しかし、これは文学なのか?と思わずにはいられません。面白いからいいけど。
5 魔法少女ミラクリーナ
僕は天然ボケ最強説を唱えています。芸人がどれだけ技巧をこらしても、本気で狂っている人には敵わない。この小説にはそれを感じます。主人公は36歳のOL。自称魔法少女です。かなりやばいですね。彼女はメンタルの危機が訪れると、コンパクトを開け魔法少女に変身します。もちろんそのことは親友以外には言わない分別は持ち合わせています。この秘密の儀式が彼女のメンタルを保っていたのですが、ひょんなことからモラハラ男がこの儀式に参加することで歯車が狂い始めます。なんというかおかしな人に出会った時の、笑いと一抹の後ろめたさを味わえます。読み心地はポップで面白いです。
以上、僕の中で笑える文学を5作紹介してみました。文学なんて辛気臭いもの読みたくないと思っている人にぜひ読んでもらいたいです。文学の定義が変わると思いますよ。
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