国宝観に行きました。

およそ一ヶ月前、映画「国宝」を観に行きました。

国宝 青春遍

一ヶ月前に映画の国宝を観に行きました。映画館は人がいっぱいで席は一番前の席しか空いていませんでした。首を上に向けて見なければいけなかったので集中できないかもしれないと思いましたが杞憂でした。

圧倒的な映画体験でした。スクリーンから迫ってくるような役者の演技。役者を美しく撮る撮影技術。そして歌舞伎役者の業と崇高さを描ききったストーリー。すべてが破格でした。あまりにもいいので、後日もう一回観に行きました。

芸に命を賭ける男たちの物語に胸が熱くなりました。なんといっても特筆すべきは吉沢亮と横浜流星などの役者の演技でしょう。実は僕はあんまり役者の演技の善し悪しがよくわからないんですが、この映画ではさすがに分かりました。
役を演じながら、さらに歌舞伎を演じるという二重の演技を役者たちはやっています。離れ業だと思います。
あまり語れていない印象を受けるのですが、ストーリーも良かったです。
この映画は重要な見せ場がかなりあり、展開はかなりテンポよく進みます。日本映画は日常を淡々と積み上げていくタイプが多いのですが、国宝はメリハリが利いていて劇的です。おそらく歌舞伎の物語構成を意識しているのではないかと思います。

映画があまりにも良かったので、原作の国宝も読んでみました。
読んでみてびっくり。映画では描かれていなかったエピソードがかなりあるのです。というか映画では出てこなかった人物までいます。

映画が歌舞伎役者の一瞬を切り取った劇だとするなら、原作小説は歌舞伎役者の人生を描ききった大河ドラマという趣があります。すごいことだと思いますがどちらもいい。

比較してみると、映画と小説の本質の違いが分かるようで面白いです。
映画にはやはり時間の制約があります。短い時間にどこまでエピソードを凝縮させるかが勝負なのでしょう。一方の小説は映像のように一瞬で分からせることができない。なので言葉を積み上げることで映像に負けない世界を創る。国宝は小説も映画もいい、という幸福な奇跡なのだと思います。
原作を読んで、あれだけ膨大な情報量のある国宝を、3時間にまとめた脚本家奥寺佐渡子のすごさも分かりました。

国宝の影響で歌舞伎も観に行きました。それもまた良かった。次回にまた書こうと思います。

国宝は観ても読んでも損の無い名作だと思います。興味があれば、映画でも小説でも鑑賞してはいかがでしょうか?

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