ゴッホ展に行ってきました
2週間前に彼女と神戸市立博物館にゴッホ展に行って来ました。博物館は朝だというのに人だかり。ゴッホの人気ぶりが覗えました。今回のゴッホ展では夜のカフェテラスが20年ぶりに来日するということで話題になりました。
僕は5年前に夜のカフェテラスを鑑賞した気がするのですがあれはなんだったのでしょうか?20年前の記憶を5年前と錯覚したのか?まったく別の作品を夜のカフェテラスと思い込んだのか?謎です。
さて。今回のゴッホ展はかなり見応えがありました。今回分かったのはゴッホの筆の多彩さ。ゴッホといえば、「ひまわり」や「夜のカフェテラス」「星月夜」などの色が鮮やかで、波打っている絵の印象がありますが、今回の展示ではそれとは別の画風の作品が多くありました。
まるで印象派と見まがう風景画。暗い色調の肖像画。浦沢直樹の漫画のような風景画もありました。
ゴッホが代表作にたどり着くまでの筆跡が、物語のように並べられて良かったです。
そして「夜のカフェテラス」。そこはもちろん人だかり。青と黄色の対比が綺麗で、実物よりも美しいのではないかと思ってしまいます。こんなカフェテラスがあったら行ってみたいですね。

さて。今回紹介したいのは「知覚力を磨く」という本。
絵画鑑賞を単なる娯楽ではなく、観察力を磨く手段として捉えたビジネス書です。
実は若者の間で美術館離れが進んでいるそう。国立アートリサーチセンターの調査によると、15歳~25歳の若者の51・7%が美術館には全く行かないそうです。コスパやタイパを重視する若者には美術鑑賞は無駄なことだと思われているのでしょうか?
だとすればこの本を読んで欲しいです。この本では絵画鑑賞は単なる趣味ではなく、観察力や発想力を磨くツールとして使えることを、数々のエビデンスを通して伝えてくれます。
たった3時間の絵画鑑賞で、医学生たちの診断力が13%向上したこと。ノーベル賞受賞者の9割が美術鑑賞を趣味にしていること。イェール大学やハーバード大学などの名だたる大学が絵画鑑賞を必須科目にしたこと。
ではただなんとなく鑑賞すればいいのでしょうか。著者によるとそうではなく、「観る」ことにもコツや方法があるそうです。そのコツは4つに分類されます。
1 全体図を観る
2 組織的に観る
3 周縁部を観る
4 関連づけて観る
どういうことでしょうか?これだけ見てもなんのこっちゃですね。1つずつ見てみましょう。まず全体図を観るということですが、美術の訓練を受けていない人は人物や物の細部を観るのに囚われ全体をまんべんなく観ることをしていないそうです。たしかに僕も今まで絵の気になる部分だけみてまんべんなくは観ていない気がしました。一方、訓練を受けている人は全体をまんべんなく観るそうです。
組織的に観るというのは、絵を複数のパートに分け、一つずつの詳細を観察し、さらにパートごとの関係がどう機能しているかを観察するということです。難しい・・・。4つのコツで一番難しく感じるところでした。
周縁部を観るというのは、絵の隅や周辺の本来スルーする部分にもちゃんと眼を向けるということです。たしかに空白の部分ってさらっと流して見がちですよね。しかし、その空白が絵の構図上大事だったりするんですよね。
最後の関連付けてみるということですが、これは絵を鑑賞している時点である程度脳内で誰でもやっていることだそうです。絵には説明がありません。どの時代のもので、どこの国のどの場所なのか、明確には記されていないのがほとんです。その空白を脳が自然に埋めようとするんですね。ここはあの場所に似ているとか、あの絵と描かれている空気感が似ているとか。僕はこの本を読んでから絵画を観るときは絵を最初に観て、解説は後から観るようにしています。たいがい観察して導いた推論は外れるんですが。
と、ここまで述べてきましたが、ゴッホ展に行ったときはこの4つのコツをすっかり忘れて、ふつうに絵画を鑑賞してしまいました。いやあ、キレイやなあっと、凡庸な感想で終始終わっていました。まあ、それでも楽しめるのが美術鑑賞のいいところですが。次はちゃんと4つのコツを頭に入れて鑑賞しようと思います。
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